残して現代に生かしたいもの。目に見えない価値もある。-座敷蔵

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はじめに

 

 この座敷蔵をなんとか、ただ残すのではなく、現代の世の中で、「生かしたい」と思い、色々広報活動しましたが、時間切れとなり、あえなく駐車場になってしまいました。

 市の中心部なので向かいに総合病院もあり、そこが屋敷部分も含めて、職員用駐車場として借りたいという申し出もあったそうです。

 ただ空襲を逃れた地方の中心部には、商家の座敷蔵が残っているところもあり、再起を期すべく忘備録として、ブログとして残しておこうと思います。

 そういうわけですので、下記の物件はあとかたもなくなってしまいました。

 この文章はまだ蔵が存在している時に広報用としてかかれたものです。

 

 

  

蔵座敷とは

蔵座敷欲しくないですか?

蔵外正面.jpg それが、今売りに出ています。
といっても移転が条件ですが。

 山形の座敷蔵です。100年位経っているものです。
大きさは間口3間奥行き6間の18坪の総二階建て(約120㎡)。
今はまだ荷物でごったがえしていますので、写真がわかりずらいですが。

 座敷蔵とは、商業用農業用の蔵と違い、昔の街中心密集部の旦那衆が、ステータスシンボルとして、作ったものです。
 火事の危険のある街中で、絶対安全な座敷をつくり、2Fを大切なものの収納に使います。つまり、田舎ではなく、街中の密集した所にのみ存在します。

 また、積極的に結婚式他、式典や、接待にも使う広間で連続する15畳相当(押入れ含む)と20畳相当(床の間押入れ含む)があり、天井も高く作ってあります。

 これらの建築様式は、競って豪華につくられており、使う木材などは、現在では手に入らないものがほとんどです。

 このような座敷蔵は西国~日本海~最上川~山形の商業が盛んだったころの上方文化の影響です。関東以東の太平洋側にはあまりありません。
 西国の街中は大戦中に焼け野原になって、このような蔵はほとんど消えてしまいました。

 山形市は珍しく空襲や戦禍も無く、大地震もなく、大洪水も無く、しかも程よく高層化せず、無事にこのように残っているわけです。

 

  

その造り

  1Fでは、三尺(90.9CM)ピッチで16CM角の柱があり、その間に渡す梁などは、16CM巾26CM高さ、長さ3間(約5.4m)で、材料は杉など使わず、檜かケヤキのようです。このサイズの完全乾燥ひび割れ無し無垢材は、今はなかなか手にはいりません。
 それが、14本もあります。

 これだけでもびっくりなのですが、小屋組がもっとすごい。

 棟木は、何と!ケヤキ32CM巾 高さ32CM+α(隠れてるので)で長さ6間(11M)の一本もので無節
これなんか完全に入手不可能です。

 また、小屋梁はこれだけの大きさなのに1本しかなく、写真のように、またまたケヤキの40CM前後直径で三間長さの見事な無節無ひび曲り木一本もの。
これも市場で入手するのは難しいです。

 建築関係者なら、小屋束がたったの1本と棟木の両端の妻手壁柱で、土蔵の重い屋根を支えているのに驚愕するでしょう。
 これだけ太い小屋梁、棟木を使うのも納得です。

 そのほか床の間、欄間、床等細かいものをあげればきりがありません。

 よく飲食店なんかで、農家のすすけた古材を使った店などみかけますが、それらとは、全く次元が違う材料や造りです。

  

膨らむ想像

  この蔵の持ち主の(N家)方は、旦那さんが亡くなったあと奥さんが隣接する家屋(これも立派なんです)に一人で住んでおられましたが最近亡くなりました。
明治以降は代々、みな帝大か、国立医学部ばかりに進学して学者、教育者ばかり排出した家です。商家でもないのに座敷蔵があるのも珍しいです。

 息子さんたちは、皆独立し、別居しており、相続された方(お医者さん)は、これらの家作が街の中心にあるため、隣の家作も含めて更地にしたいという希望を持たれています。

 重機で一気につぶし解体するのは簡単ですが、材料を取り出しながら丁寧に解体するのはとてもお金がかかります。
 しかし、このように立派な方々を育み、魂がこもったものを、ゴミとして消してしまうのは、部外者ながら耐えられません。
 できればうまく転用して世に残したいと思い、N家の方にお願いしまして了解いただき私が任された次第です。

 転用の仕方は、理想的な順に挙げますと、

●1 骨組みと、基礎石を、別所に作ったベタ基礎の上に移設し、土壁は新規に作り複製再生する。
  ※これは、左官職人不足もあり、とてもお金がかかるし、商業的な利用も難しいので、すごいお金持ちをさがさなければなりません。

●2 骨組みと屋根瓦と扉とその周りの金物だけ移設する。
  ※これも多少高額と思います。扉まわりがけっこう大変。

●3 骨組みと屋根瓦だけを移設し、重いイメージでなく力強さと、歴史文化性と、透明感開放感を兼ね備えたイメージで再生し、商業用や住居用に再利用する。
  一部に漆喰壁を新規に造り、蔵であったこともかもし出すが、下地は小舞入り本格土壁でなく、近代的な下地や断熱材の上に漆喰で仕上げます。
  土台は恐らく新規となりそう。
  ※これは、商業利用の業態によっては、希少性もありすごく有効かと思います。
  ※しかも、今はなくなってしまった、首都圏などではすごいインパクトになるんじゃないかと思います。
   やはり、首都圏等など、そのような蔵が無い地方にあったほうが、八方良しと思います。
  ※ちなみに山形では商業利用で、すでに前例(オビハチその他)があります。
 
(しかし、移設してないし、店蔵で金属屋根ですしほとんどそのままつかってます。)
 

●4 木材だけバラ売りする。
  ※これは、稀少な木材を必要とする、宮大工工務店などにすぐさばけますが、すこし悲しいです。
すべて、断面サイズが大きめなので、カンナ処理などいくらでもできます。
すでに知り合いの候補が、いくつもあります。

興味がおありの方は是非連絡いただければと思います。
特に3番あたりいかがですか。(1,2理論上できても、人がいるかどうか。。)
いくらか期間を設けて、複数いらっしゃったら、見学会を開きます。

ほんとは、私がほしいんだけど、建てる土地もないし残念!

 

蔵外全体.jpg  蔵外正面.jpg  正面と側面写真、重厚です。基礎部分も時代を感じさせます。
側面.jpg 家屋入り口.jpg  

左側は住居からの入り口。屋根がくっつけられてます。

右側、植木も趣あります。

棟木.jpg  棟木ー大.jpg   これが11Mのケヤキ棟木。32CM角
  小屋全体.jpg  

これが小屋梁(ケヤキ)一本だけでがんばってます。

普通は細いやつ5本位の時が多い。

曲がり具合がなんともいえない。ただ薄汚いと見る人もいるでしょうが、

店舗デザインの立場からすると、ちょっと一手間かければ、都会じゃすごくヒットするでしょう。

 1F天井.jpg 欄間.jpg

写真ではわからないけどすごく大きい欄間飾りです。

杢板、1枚もの。横に金襖らしきものも写ってます。

木目も見事。

  1F天井.jpg  床脇1.jpg  

1F奥の、床脇から、床の間の写真。(荷物のスキマに手を差し込んでやっと撮影しました。)

神棚や戸袋もいい。

 何代前なのか聞かなかったけど、作った方は相当こだわったんでしょうね。

移転用途によっては、このコーナーは別人に譲ることもあるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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