2008年6月アーカイブ

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 別邸の設計依頼をいただきました。すでに2008年上旬に建物完成しましたが、順を追って複数のブログ風に紹介します。

普通の別邸ではありません。

海岸から2Kも離れていない良い立地です。

敷地面積約2000㎡越えのうち約1000㎡(999㎡)を開発行為申請で宅地にして、残りは自作農園です。

しかも、水は地下水を利用できます。

建築面積は240㎡。かなり先の話ですが、庭園作りもあります。

確認申請は開発申請からなのでとても時間がかかりました。

 オーナーは、東京でビル3棟を所有しているS氏です。たたきあげで0から資産を作り、やっとゆっくりできる今は、東京半分、故郷の別邸で半分優雅に暮らしたいとのこと。

オーナーの希望は

「都会で過ごした今までの人生では、生きるためにいろんな汚いものや裏表をみてきた。しかし歳を重ねた今からは、純粋で本物の生活をしたい。」

「例えば、床柱などで化粧板が貼ってあるものなどを見ると悲しくなる。もし予算不足になったら、銘木の薄板で化粧した床柱より、節だらけの杉のほうがよっぽど良い。」

 佐藤繊維の佐藤正樹さんに似てます。具体的な形や色や雰囲気の好みは違っても、共通するところがあります。

それでは、先の楽しみがなくなるのでちょっとだけ、画像と文章を紹介します。

 

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図面は総数で80枚強。その他に、開発、確認申請用にわざわざ作った資料図面もある。

敷地、建物面積、こだわりかた、などを考慮すると、普通の住宅の3件分くらいあった印象です。 

gennkan.jpg hana-1.jpg どこにかにある例と似せてつくるわけでなく、新しいものを作るため、意思疎通には、必要な資料がさらに増えます。
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大黒柱、棟木の丸太の意匠、数寄屋風のイメージ、離れの床の間の側面に隠し窓があって光が入っている様子

などわかりますか?

 

 

 
     

次は工事中の様子です♪

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シンクロって特別な事?

  表題にあるこのフレーズ、あたりまえといえばあたりまえなんですがこれがなかなか難しい。

 良いデザインとは、自分と異なるデザインの受け手にシンクロしながら、その状態の上に、自分独自の経験、知識、想像力、創造力他、全ての能力を融合させることにより、シンクロした受け手にさえもサプライズを感じてもらい、その受け手の価値観に変化をもたらすということなんです。

 まず、「シンクロ」についてですが、よく勘違いするのは、アンケートなどを取り分析さえすれば解決するという考え方。これは非常に危険です。

 人というのは、本当に自分の欲するものが自分でわかっていない事も多く、得てして、アンケートに答えるときは、報道や広告に流されてしまっていたりします。

 また、言葉というのも、便宜的に伝達のために体系化された旧価値観体系のために表現できることも限られます。

 ほんとうに新しいものは、適切に表現する言葉が存在しないため、新しい言葉が作られることも多いんです。

   

シンクロする事=感じる事の大切さ

 例えば、シンクロというものををないがしろにするとどのような事がおこるでしょう。極端な例が下記です。

>学者肌の男性Aさんは、「女性はピンク色が好き」。という調査結果を見つけました。そして紋きり型思考によって、じゃあ、自分はピンク色の服を着れば女性に好かれるに違いない!と考え実行しました。

 当然失敗しますよね。現在の状況判断も無理な位ですから、将来の予想や新しいものの企画なんてなおさらでしょう。

 もうすこし極端で無い例をあげましょう。

 私は男ですが、女性がどのような男性を好きかはある程度なら経験的にわかります。

 しかし、女性が「なぜ」男性を好きになるのか感じる事はできませんし理解もできません。

 この「なぜ」を理解したり感じたりできなければ、女性に新しい男性像を提案したりできませんし、その女性の男性に対する評価方法や価値観が将来どう変化するかはわからないはずです。

 シンクロしない状態での知識は、単なる状況証拠であって、新しいものや将来には無力なわけです。

 男と女のそれぞれの異性に対する見方に対してシンクロするのは、最も難しいと思います。これをシンクロするには、自己催眠が必要でしょう。

 しかし、それ以外に関するデザインでは、訓練すればシンクロできます。

 つまり、デザインの一部であるシンクロという部分は、「役者」の才能が必要です。

senn-koori-hasira.jpg  もちろん、その後に、自分の専門や、知識、能力等総合的にうまく融合されて新しいものができあがるわけですが。

  で今回設計した物件は、そのシンクロする相手が、女性であるばかりでなく、超若いギャル(年代がばれるかな)で、しかも、無難な言葉で表現すれば「さばけた」女性がシンクロのターゲットです。

 つまり、私と全く正反対!

 空間造りでこれだけ大変なんですから、実際、商品戦略や、運営を決済される千足屋若社長も、さぞかし大変かと思われます。しかし、不思議な事に、すごく楽しみながら、生き生きとされておるようです。

 

   

シンクロターゲットとサプライズターゲットは同じと限らない。

 しかし!

 男だからといってデメリットばかりではありません。特に最先端のファッション界においては、女性用のファッションデザインナーは、男が圧倒的多数ではありませんか。

 女性ファッションの場合、その目的は着心地などより、特定の他人が含まれるシーンにフィットする事が目的だったりします。

 また、ある女性ファッションジャンルにおいては、自分の価値観はさておき、女性が理解したり価値観を感じる事ができない男性視点で、「いい女 イケテル女 セクシーな女」と見られる事に全精力を注いでいます。男性用にはこのような物はとても少ない。

 つまり、女性ファッションとは、一方向からの価値観ばかりでなく、異性を含めた多方向からの価値観が複雑に折り重なってるわけです。

 だから、千足屋の若社長や、私にも勝機があるわけです。

 ただ、ほんとうにうまくいったのかどうか。私が女性でないために、数字はわかっても、実感がちょっと少ないのが残念!

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<参考>

※店舗→特定の絞り込んだターゲット+そのターゲットの特定のシーンにシンクロ

※住宅→極めて特定のターゲットへのシンクロだが シーンは特定せず最大公約数的

※公共施設や事務所→不特定多数相手だが シーンは特定する事が多い。シンクロより機能性や長いスパンで誘導したい文化を意識。

※自分用住宅→シンクロ不要 ただし自分で自分をサプライズさせるのはほぼ不可能。

やはり店舗はこの意味では最も難しい。技術の難易度ではみな同等である。

<千足屋 ATI郡山店>

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はじめに

 

 この座敷蔵をなんとか、ただ残すのではなく、現代の世の中で、「生かしたい」と思い、色々広報活動しましたが、時間切れとなり、あえなく駐車場になってしまいました。

 市の中心部なので向かいに総合病院もあり、そこが屋敷部分も含めて、職員用駐車場として借りたいという申し出もあったそうです。

 ただ空襲を逃れた地方の中心部には、商家の座敷蔵が残っているところもあり、再起を期すべく忘備録として、ブログとして残しておこうと思います。

 そういうわけですので、下記の物件はあとかたもなくなってしまいました。

 この文章はまだ蔵が存在している時に広報用としてかかれたものです。

 

 

  

蔵座敷とは

蔵座敷欲しくないですか?

蔵外正面.jpg それが、今売りに出ています。
といっても移転が条件ですが。

 山形の座敷蔵です。100年位経っているものです。
大きさは間口3間奥行き6間の18坪の総二階建て(約120㎡)。
今はまだ荷物でごったがえしていますので、写真がわかりずらいですが。

 座敷蔵とは、商業用農業用の蔵と違い、昔の街中心密集部の旦那衆が、ステータスシンボルとして、作ったものです。
 火事の危険のある街中で、絶対安全な座敷をつくり、2Fを大切なものの収納に使います。つまり、田舎ではなく、街中の密集した所にのみ存在します。

 また、積極的に結婚式他、式典や、接待にも使う広間で連続する15畳相当(押入れ含む)と20畳相当(床の間押入れ含む)があり、天井も高く作ってあります。

 これらの建築様式は、競って豪華につくられており、使う木材などは、現在では手に入らないものがほとんどです。

 このような座敷蔵は西国~日本海~最上川~山形の商業が盛んだったころの上方文化の影響です。関東以東の太平洋側にはあまりありません。
 西国の街中は大戦中に焼け野原になって、このような蔵はほとんど消えてしまいました。

 山形市は珍しく空襲や戦禍も無く、大地震もなく、大洪水も無く、しかも程よく高層化せず、無事にこのように残っているわけです。

 

  

その造り

  1Fでは、三尺(90.9CM)ピッチで16CM角の柱があり、その間に渡す梁などは、16CM巾26CM高さ、長さ3間(約5.4m)で、材料は杉など使わず、檜かケヤキのようです。このサイズの完全乾燥ひび割れ無し無垢材は、今はなかなか手にはいりません。
 それが、14本もあります。

 これだけでもびっくりなのですが、小屋組がもっとすごい。

 棟木は、何と!ケヤキ32CM巾 高さ32CM+α(隠れてるので)で長さ6間(11M)の一本もので無節
これなんか完全に入手不可能です。

 また、小屋梁はこれだけの大きさなのに1本しかなく、写真のように、またまたケヤキの40CM前後直径で三間長さの見事な無節無ひび曲り木一本もの。
これも市場で入手するのは難しいです。

 建築関係者なら、小屋束がたったの1本と棟木の両端の妻手壁柱で、土蔵の重い屋根を支えているのに驚愕するでしょう。
 これだけ太い小屋梁、棟木を使うのも納得です。

 そのほか床の間、欄間、床等細かいものをあげればきりがありません。

 よく飲食店なんかで、農家のすすけた古材を使った店などみかけますが、それらとは、全く次元が違う材料や造りです。

  

膨らむ想像

  この蔵の持ち主の(N家)方は、旦那さんが亡くなったあと奥さんが隣接する家屋(これも立派なんです)に一人で住んでおられましたが最近亡くなりました。
明治以降は代々、みな帝大か、国立医学部ばかりに進学して学者、教育者ばかり排出した家です。商家でもないのに座敷蔵があるのも珍しいです。

 息子さんたちは、皆独立し、別居しており、相続された方(お医者さん)は、これらの家作が街の中心にあるため、隣の家作も含めて更地にしたいという希望を持たれています。

 重機で一気につぶし解体するのは簡単ですが、材料を取り出しながら丁寧に解体するのはとてもお金がかかります。
 しかし、このように立派な方々を育み、魂がこもったものを、ゴミとして消してしまうのは、部外者ながら耐えられません。
 できればうまく転用して世に残したいと思い、N家の方にお願いしまして了解いただき私が任された次第です。

 転用の仕方は、理想的な順に挙げますと、

●1 骨組みと、基礎石を、別所に作ったベタ基礎の上に移設し、土壁は新規に作り複製再生する。
  ※これは、左官職人不足もあり、とてもお金がかかるし、商業的な利用も難しいので、すごいお金持ちをさがさなければなりません。

●2 骨組みと屋根瓦と扉とその周りの金物だけ移設する。
  ※これも多少高額と思います。扉まわりがけっこう大変。

●3 骨組みと屋根瓦だけを移設し、重いイメージでなく力強さと、歴史文化性と、透明感開放感を兼ね備えたイメージで再生し、商業用や住居用に再利用する。
  一部に漆喰壁を新規に造り、蔵であったこともかもし出すが、下地は小舞入り本格土壁でなく、近代的な下地や断熱材の上に漆喰で仕上げます。
  土台は恐らく新規となりそう。
  ※これは、商業利用の業態によっては、希少性もありすごく有効かと思います。
  ※しかも、今はなくなってしまった、首都圏などではすごいインパクトになるんじゃないかと思います。
   やはり、首都圏等など、そのような蔵が無い地方にあったほうが、八方良しと思います。
  ※ちなみに山形では商業利用で、すでに前例(オビハチその他)があります。
 
(しかし、移設してないし、店蔵で金属屋根ですしほとんどそのままつかってます。)
 

●4 木材だけバラ売りする。
  ※これは、稀少な木材を必要とする、宮大工工務店などにすぐさばけますが、すこし悲しいです。
すべて、断面サイズが大きめなので、カンナ処理などいくらでもできます。
すでに知り合いの候補が、いくつもあります。

興味がおありの方は是非連絡いただければと思います。
特に3番あたりいかがですか。(1,2理論上できても、人がいるかどうか。。)
いくらか期間を設けて、複数いらっしゃったら、見学会を開きます。

ほんとは、私がほしいんだけど、建てる土地もないし残念!

 

蔵外全体.jpg  蔵外正面.jpg  正面と側面写真、重厚です。基礎部分も時代を感じさせます。
側面.jpg 家屋入り口.jpg  

左側は住居からの入り口。屋根がくっつけられてます。

右側、植木も趣あります。

棟木.jpg  棟木ー大.jpg   これが11Mのケヤキ棟木。32CM角
  小屋全体.jpg  

これが小屋梁(ケヤキ)一本だけでがんばってます。

普通は細いやつ5本位の時が多い。

曲がり具合がなんともいえない。ただ薄汚いと見る人もいるでしょうが、

店舗デザインの立場からすると、ちょっと一手間かければ、都会じゃすごくヒットするでしょう。

 1F天井.jpg 欄間.jpg

写真ではわからないけどすごく大きい欄間飾りです。

杢板、1枚もの。横に金襖らしきものも写ってます。

木目も見事。

  1F天井.jpg  床脇1.jpg  

1F奥の、床脇から、床の間の写真。(荷物のスキマに手を差し込んでやっと撮影しました。)

神棚や戸袋もいい。

 何代前なのか聞かなかったけど、作った方は相当こだわったんでしょうね。

移転用途によっては、このコーナーは別人に譲ることもあるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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はじめの条件

 

gaisou-migi.jpg この飲食店の話を持ちかけられた時は驚きました。オーナーは当面不定期営業で、しばらくしたら、週3-4日の定期営業とのこと。

 さらに、その後、秘密の計画があります。いずれこのブログでお知らせすることになると思います。この秘密の計画が実現すると、高齢化時代で引退を余儀なくされた人でも、生き生きとして仕事と余暇を両立した、自己実現に満ちた生活を送れるようになります。

 オーナーは以前ここで、営業していてけっこう繁盛していて立地柄有名人もよくいらっしゃってたそうですが、病気で一事閉店していました。

 賃貸ですので大家さんが、閉店したままなら他に貸したいとの話がありましたが、オーナーはこの場所にことのほか思い入れがあるらしく、将来の楽しみのため、外壁外装も構造と関係無い部分は全面的に撤去して新しくし、大家さんの顔を立てるという成り行きです。

 あわてて営業しなくとも、十分余裕の収入のある方で、この飲食店は自分の道楽を兼ねて行うとのこと。

 いままでは、店舗といえば、採算を徹底的に考えながら、最大限の顧客価値とオーナーのリターンを考えてばかりいた私にとって、びっくりするほどのフリーハンドです。(といっても予算は限られますが)

 しかし、条件はやさしくありません。面積は狭いながらも、しっかりと存在感を表現しなければならないし、席数確保も必要です。

 そして、中華料理の煙は絶対に店内へ流したくないという希望もあります。以前は煙が充満していたそうです。

   

シーンメイクと種々の工夫

  まずは面積が小さいということ。これを逆手に取り顧客価値として利用できないかと考えました。

 そこで、その条件と、池尻三宿という都心至近だが不思議とおちついたたたずまいの立地に適したシーンメイクをします。結果、

「ほらあなをくぐりぬけると、誰も知らない秘密の湖があり、そこで人が語らいくつろぐ夢の浜辺」

となりました。そのために、

●外装内装は切り取られた地層のような意匠。

●内外の床は大理石の玉砂利。(わざとぴしっとした御影石などのパターン貼りは避けました。)

●奥壁面には、月明かりに揺らめく湖の水を思わせるしかけ。

●天井照明もちょっとした非日常なしかけ。

●時間を楽しんでもらう中華料理には珍しい業態のため、パントリーを兼ねたバーカウンターを厨房とは別に設置。
-以上写真参照-

 

その他の工夫として

※開放的なのが好きなお客様のために、前開にできるサッシをつけ、パリのカフェのように、通りをみながらくつろげるようにもしました。

※業務用の強力なオゾン発生器で夜間店内にオゾンを充満させる事により、ゴキブリやねずみ他害虫を隅々まで退治するばかりか、凹みなどで掃除が行き届かない部分を完全殺菌し、しかも臭いまで完全に分解します。フキンなどもそこで干しておけば完全な殺菌乾燥で衛生的です。
 朝仕事始め2時間前にオフにするようにせっとしておけば、人が入れますが、夜間泥棒が進入してもつらくてすぐ逃げると思います。(中国の餃子工場も導入しておけばよかったのにねぇ。)
(これは上に記した、秘密の計画にも貢献すると思います。)

※床大理石は、外部においては酸性雨、内部においては汚れに影響をうけますので、風合いを変えずにある特殊な処理をして問題を解決しています。(ワックスなどとは全く異なります。)

※煙の問題は、店内の全熱交換の給排気システムで、強制給気を強めにし、店内→厨房への空気の流れを作ることにより解決しました。(もちろん、厨房内に法規上必要な自然給気口はあります。)

※このリニューアルは、施工マネジメントシステムで、一括発注予定で見積もりいただいた時より3割程度安くあがりました。

 早く本格営業してもらいこの店が生き生きと息づくのを見てみたいです。

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地層が切り取られた外壁。

サッシは前回にもできます。

嵌め込んだガラスは、わざと昔ながらの製法で作った、波打ってるガラス。見えそうで見えない。神戸から取り寄せました。

tenntoukannbann.jpg sekai-kita-kage.jpg  

 看板は円形だが、わざと崩した円形です。さざなみを覗くイメージ。

 天井の照明はローコストでシンプルなスポットライトですが、円盤を透過させる事で、非日常感。

 その円盤の柄は地球を北から見たところ。

 つまり地球の北部分を下から眺める不思議な感覚。ちょっとこわい。

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カウンター天板はヤニ松

テーブル天板はケヤキの珠杢

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 内部側壁は外の地層がそのまま連続していますが、正面奥は、明るく「ゆらゆら光る」しかけ。

床は大理石玉砂利

秘められた湖畔の夕べ。

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 総面積が小さいので、トイレもコンパクトにしなければなりません。

中華料理店の小さなトイレってあまり良いイメージありませんよね。

それを解消するために鏡の腐食フロストを使います。顔の高さの円形は腐食させてません。

 

 

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ブックエキスプレスTOP.jpg   私とブックエキスプレスの出会い

  どこも大繁盛.jpg カウンター.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 ブックエキスプレス(当時はブックガーデン)はJR東日本リテールネット(当時は東日本キヨスク)が経営する店舗で、自分のノウハウで運営している業態です。(他の業態では、フランチャイジーとなっているものもあります。)
 
 U.S.I起業前の会社員時代に、私が担当し、最初のパターンのDila東京駅のデザインが開発されました。

 それが好評だったのだと思いますが、千葉を会社員時代に担当し、上野、品川を、退社後でU.S.I起業前に担当させていただきました。

 その後も、リテールネット様から直接依頼いただきまして、3件ほどU.S.Iとして設計させていただきました。その他、物件とならないリテールネット様社内企画などでもお手伝いさせていただいております。

  

個性的な顧客価値の発見と、新しいデザインコンセプトの芽生え-Dila東京店

  発想の始まりは、従来の書店の理想的なイメージとされた"落ち着き、イメージの温かさ、くつろぎ、重厚さ、知識や文化の泉"等を一度捨ててみてゼロから考えてみたところから始まります。

 駅、とりわけ日本の中心地である東京駅構内において、書店の顧客価値とは何かを真剣に考えました。
 しかも、オンタイムの利用が大きく予想され、混雑は必至の場所です。
 従来の生活地近郊の書店や、目的性の強い大型書店の顧客価値を、そのまま持ってきても無駄であることを最初に感じました。

 おちつきや、くつろぎは、マイナスではないが、あまり意味がなさそうです。
 というよりは、通常の書店の3倍以上の混雑なのですから、ハードやサービスをいくら工夫してもそれは叶いません。

 そこで考えた顧客価値は、

  "高い志や夢を持つビジネスマンOLや旅行者がそのオンタイムのテンションを維持しながら、短い時間で気分や知覚の転換をできる場"

 としました。従ってデザインのイメージは従来の書店とは異なる、"(いい朝のような)さわやかで心地よい緊張感"としました。

 過剰に化粧しない、素材感を生かしたシンプルな対比。間接照明のアクセント。
 ブルーの強いディープグリーンと無機質だけど透明感のあるメタリック。

※一般的な書店は"くつろいでじっくり本に出会える"などのコンセプトに基づいて、濃い色の木目などになりがちですが、それを東京駅に適用すると、"暑苦しくて、場違い"となりかねません。ただし、東京駅らしい格を出すために、単なる明るい色じゃなく、メタリック等の素材感や、光や、透明感の表現に気を使っています。

光るカウンター.jpg その他にも色々工夫所があります。
 例えばレジカウンターの光る荷物置。
 混雑必至で、レジも会計待ちがあたりまえ。意図せぬお客様の不愉快もあるかもしれません。

 それでもせめて最後だけは"晴れやかな気持ち"になってもらおうとの願いがこめられています。

 この荷物置きに関してとても印象深い思い出があります。K女史と一緒にキヨスク様の上司に決済をお願いしに行った時、
「この光る荷物置きには、前例があるのかね?」と訊かれました。

 つまり、これを行うと、お金もかかるだろうし、強度も大丈夫なのか?見合った効果はあるのか?という質問だと私は解釈しました。しかし、前例はありません。しかし、私は多くを語らず、且つ自信を持って、

「恐らく私の知る限り日本で始めてだと思います。」

 と言いました。前例の無いことは、ネガティブではなくポジティブなのだという意味を声や表情に込めて。その後、その荷物置きに関しては全く訊かれませんでした。

 その結果、見事企画は通り、実現しました。

 JR系列というと、旧国営企業で、保守的というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、この一事でわかるように、とても新しい事にチャレンジする社風なんです。元国営だったからこそ、大きな改革を迫られて、意識して新しい改革やチャレンジをする事の大切さや必要性を身をもって理解されてるのだと思います。
 
これらの基本的な考え方は以降の千葉、品川、上野の店等にも引き継がれました。

 当時はK女史様が、キヨスク様開発担当者で、とても柔軟な所が、私とドンピシャで思い切りできました。
 彼女は現在はJR東日本企画に戻られて活躍されている、地がすごい美人な方です。
 また同様にそのサポートをされていたのはM女史です。(現在はめでたく社内結婚されてS女史となっておられます。)彼女も理解力があり、また緻密で、おかげで、大胆かつ細心な仕事ができました。
 しかも店長も女性でK2女史。とにかくはっきり話し、向上心旺盛な方でした。
 
 全員女性だったわけです。私生活とは反対に仕事では、もしかしたら女性と相性がいいのかも♪

  

進化

 Dila品川店の紹介です。


右から.jpg ここは、キヨスク様はNさんが開発担当者様でした。
 彼も積極的にチャレンジする人です。
 キヨスクさんは若い人に活気があります。

 いままでの基本的な考え方をチェーンとして維持しながら、多くの進歩がありました。

 例えば、70坪の小規模でありながら両サイド2カウンター6レジ。それにより中央部は迫力ある売り場。
 いままでは、中央にレジを持ってくるのが常識ですが、この大胆な案は、部長様や、課長様、他皆様の先見性にも助けられ採用していただけました。この程度の面積で両サイドに2箇所6レジの店は日本で他にないのではと想像します。
 基本的な考え方は、"1番良い場所はお客様へ、2番目以降が管理スペース"という提案をしました。
 百貨店などで言われている"売り場ではなく買い場"をより具体的にして、書店にトランスファーしているわけです。
 この基軸はその後の店作りに反映されました。

 また、天井まで大胆な分厚いガラスを立ち上げ、それをシンプルな訴求場所にした事。
 書店の持つ"リアリテイを持つ、世界と自分の発見空間"のイメージを強力に訴えるためのものです。
 大手取次ぎ様からも、全国で知る限り初めてだとお褒めの言葉いただきました。

ガラスイベント.jpg ガラスイベント2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっとした事ですが、レジ案内の(cashier)の文字。
 通常わかりやすさを出すためにこれはビビッド(赤系統)な文字になります。
 でも、レジ待ちの行列があるし、レジカウンター自体が光っているんだから、ビビッドにする意味がありません。
 特に赤系統を使うと感情促進効果が出てしまいます。レジ待ちのイライラが増幅されてしまいます。

 そこでキャッシャーサインは、フロストの半透明な盤面にチャコールメタリックの文字です。

 言葉は悪いですが、閑散とした郊外書店などでは、むしろ、赤系統が正解である場合もあります。活気を演出するために。

 この店は、70坪にもかかわらず通常の都市型500坪の店に匹敵する繁盛です。
夕方はいつも混雑。朝30cmあった平積みも何回も補充!もうなくなりかけてる。 これらのデザインの成功は、単に空間を芸術したのでなく、顧客が店にいる現実的な状況をしっかりイメージし顧客価値を自分なりに想像上で体感しながら作った事にあります。
 また、それを一緒に楽しんでくれた、キヨスク様の皆様方のおかげと思っています。


 今回も過去の例はありますか?と聞かれて口癖のようにいつも"本邦初です。"と冷や汗かいて言ってたのに、いろいろ採用していただいたおかげで、実現できました。
 ありがとうございました。

 名門超大手の例えば紀伊国屋様と比べれば、本屋の常識からはずれている部分もあるかもしれません。しかし、若い人達が先頭にたつリテールネットの人達はエキナカだからこその顧客価値を常に一生懸命考えて、日々進歩しています。

 ブックエキスプレス(旧はブックガーデン)にはいろんな人のいろんな思いがつまってます。これからも末永くかわいがってください。

 

ブックエキスプレスのホームページ

 

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千足屋本店-ファサード-リニューアル後与件

 山形最大の靴チェーン店の千足屋さんの本店です。千足屋さんは、仙台や福島や庄内に積極進出したり、全国相手にネット販売なども手がけています。

 全国に多くの大型チェーンもありますが、その攻勢を地元では退け続けているなかなかの会社です。
 雪国の場合、商品のサイクルが東京や仙台などのチェーンと違うため、マニュアル頼みの全国チェーンではなかなか対応できないため、千足屋さんにかなう大手はいないとのことです。

 その本店の本格的なリニューアルの話が私に持ちかけられました。老朽化した設備の刷新はあたりまえとして、その他のリニューアル動機を次にあげます。

1、縦長の店で、売場が雑然として収拾つかなくなってきたこと。

2、自社で郊外の大型店も展開しているため、街中らしいコンセプトとイメージや格を持った店に差別化すること。

3、山形唯一のナイキショップを店内展開することに本決まりになったこと。

です。順を追って解説しますと、

1>今までは、靴はファッションに比べて、余り流行遅れの不良在庫が発生しませんでした。特に男性用は。そのため、売れそうな商品があるとすぐ仕入れがちです。その繰り返しで、店内が倉庫のようになりがちです。そうなると、まずお客様の来店意欲がしぼみ、商品がいくらあっても売上げが伸びなくなります。商品を揃える以前の問題がでてきます。この機会に、再び回遊性と来店する楽しさを持った店に変えたいとのこと。

2>ただ商品があるだけで売れる時代ではなくなってきました。立地によって、ターゲットやコンセプトを最適化し、お客様にメリハリのあるショッピングの楽しさを提供する必要が出てきた。

3>ナイキショップになると、種々の独占取扱、プレミア商品などが得られます。

ナイキショップ以上(ナイキショップやナイキストア)は地方では1つの県に1つ程度しか認定されません。

かなりのメリットが店全体に出ます。これまでは、ショッピングセンターのテナントなどの単独店が多かったようですが、今回は初めての地場の靴屋さんの店内の設けるモデルケースとのこと。是非それにふさわしい店にしたいとのこと。

リニューアル前.jpg リニューアル前2.jpg

参照-リニューアル前写真

 

 

レイアウトのせめぎあい

 

 若社長や、ナイキ開発部の方の当初の希望は、店頭部分にナイキショップをもってきたいとのこと。

 確かに既存の様子からイメージすれば、そう思うのも無理はありません。奥は死に場所になっています。

 しかし、今回のリニューアルの目的は、奥も含めて、全売場を活性化する事ですから、その前提なら、むしろ、最奥部にマグネットとなる主力商品コーナーを作ったほうが、店全体が活性化するはずです。スーパーで生鮮3品が奥にあるのと同じです。

奥が生きなきゃこのリニューアルは失敗なのですから。

 そのため、サッシをすっきりしたものに交換する提案をし、中央に雰囲気を持たせた太い通路を取る案を出しました。検討していただいたところ、OKがでました。ナイキさんでも社内で検討した結果、奥の方が3面の壁面が得られる事や、イメージを出しやすいとの結論となったようでした。

ナイキショップとその他の境界.jpgまずは、一安心。

  中央奥のナイキコーナーがマグネットになり、店全体が活性化 

  

お店の顔

 いままでは、ビルの意匠にとけ込んで、顔が見えない雰囲気でした。

 そこで、黒のメタリックマスキングを施しマスクをシックに引き締めると同時に、その黒のマスキング内の華やかさを引き立つよう演出します。

 テレビの枠が黒やシルバーなどモノトーンが売れてるのと同じ理論です。

 さらに、奥に入るナイキショップやその他のブランドの表示も雑然としないよう配置します。

ななめファサード-ブランドサイン、他 

    

コストデザイン

 今回は、トータルコストを落とす事も重要でした。そのため、弊社が千足屋さんの開発部の一員となって、千足屋さんが分割入札発注してその複数の業者のマネジメント(とりまとめ)を行う形式としました。設計監理料+αの代金が発生しますが、その効果はそのαとくらべものにならない大きさがあります。

 具体的な金額としては、一括で見積もりを取った場合に比べて3割の差がでました。しかも、各専門業者さんを叩いたわけでもなく、喜んで仕事してもらいました。

 システムとして効果大だったようです。住宅などと違い、店舗リニューアルは、建築以外の設備や装飾の金額が大きくなります。

 そのため、見積もりする人は他分野に詳しく無い場合、どんぶりになったり、あるいは、専門業者への説明があやふやになったりします。ところが、設計者が専門業者に直接説明し、また、同業の競合もいるとなれば、シビアに見積もりが出るのです。

 受注するほうも、リスクが少なくなり、オーナーから直接の発注で先の繋がりも見込めるし、即金なので、メリットがあります。

 分割範囲は、「内装外装建築及び現場工程安全管理」、「内装仕上げ」、「電気」、「空調」、「スチール什器」、「木製特注什器及び装飾」、「ナイキ什器」といったところです。

 将来のメンテナンスで、分割すると不便と思う人がいるかもしれませんが、逆です。もし、元請けが廃業したら、一括発注していた場合はお手上げです。また、修理などでも直接専門業者に連絡したほうが、気持ちよく請けてくれますし、直接発注でマージン分安いケースが多いようです。情報伝達経路が長くなるほど、正確さやコスト面で不利になることが多いようです。

 また、店舗の場合、その他の建築と比べて、こだわる所や、重要度の配分が異なります。そのため、店装専門業者に依頼する事が多いですが、やはり割高になってしまうようです。店舗に詳しい設計者が、間に入ってマネジメントすれば、うまく、一般の専門業者を使えて安くできるケースも多いです。

  

最後に

 その他デザインには、色々な工夫があります。

ローコストの蛍光灯でありながら、クリアな光と雰囲気を醸し出す反射板。

上部のストック置き場。中央通路の選出。

コーナー分け。レジの位置。

他にも沢山あります。

 なにより、土日などは、店が満員状態です!。街のなかで一番こと思うくらいです。街の靴屋さんでなく、最先端のファッションスポットとして、若者のたまり場になっているのはとても嬉しい限りです。

千足屋さんこれからもがんばってください。

 

千足屋靴店のホームページ

ナイキストア

 

中央通路のイベント台は見通しを考慮.jpg 中央通路を挟んでイメージ分け-右.jpg 

中央通路を挟んでイメージ分け-左.jpg 店頭はナイキでなくレディースになりました。.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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天真堂-全景正面.jpg 

書店郊外店には逆風が吹いています。

   今までは、車社会が進行する中、郊外出店によって"書店業界内"での自店競争優位を実現できてればそれで成功でした。

 今までは、書店の客数が多いことを利用して、ビデオやミュージックの販売やレンタルなどの粗利の高い業種との複合がとても有効でした。

しかし、時代の流れは速いものです。

 前者については、書店業界内で競争優位を実現しても売上げは減り始めました。ご存じのようにアマゾンなどのネット書店。あるいはコンビニエンス。
 さらには、本の持つ一面の"情報"が、本に頼らなくとも得られるようになった。例えば、旅行情報、地図情報、株投資関連、趣味関連etc。しかも本はそれら競合に比べて情報の即時性で大きく劣ります。

 後者についても、消費者は物を買っているのではなく、コンテンツを買っている以上、ビデオ、DVD、CDといったメディアがネットなどに代替されてしまいます。
 メディアが代替どころか、メディア不要になっています。最終の再生機器がコンテンツ取得機能を持ってきました。 I-POD 家電とPCの融合etc つまりユビキタス。

 つまり、他業種のお客様にとっての利便性が上がった事により郊外書店は苦境に立っているわけです。

 

しかし!ちょっとまってくださいよ!

 便利になっているのに、どうして、最近の人は活字を読まなくなったんでしょう?逆ならわかりますが。

 本の持つ長いストーリーの満足感や携帯性など顧客価値は、そうそう消えるわけではありません。

 ネットの断片情報の洪水の中で、思考が単純化し、深みが無くなっているような気がしませんか?

 つまり、この最近の利便性には、なにか欠けているものがあるとしか考えられません。

天真堂-壁イベント.jpg 天真堂-イベント.jpg 

 恐らく、本と人が出会うには、それにふさわしい"場"がやはり必要なのではないでしょうか。

 そして、その"場"そのものは、お客様の日常の中で大切な位置を占める必要があるのではないでしょうか。

 そんな言葉にあらわしにくい本への熱意を、天真堂書店さんは、塩山郊外店で実現しようとがんばられました。私も、起業前ですが、それにふさわしい空間=場をいっしょに考え、コンセプト、建築基本設計、店舗設計などでお手づたいさせていただきました。

 こういう、熱意のある書店は是非残ってもらいたいと心から願います。

 

 具体的にどうなのか?は是非来店して体感してみてください。写真で伝えられることはごくわずかです。店内にストーリーがあり、子供のコーナーなど地域文化など広い目線の文化育成も目ざし、文具も単なる道具ではなく、文化的側面をとても重視しています。

 

 

 

 

天真堂-全景斜め.jpg天真堂書店塩山店の地図

 

 

 

 

 

 

 

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  ファサード

このページでは、私がこれまで関わってきたお客様に、私の仕事についての感想を語っていただくことにします。第一回目は、私が独立する前からずっと関わっている、東京都 東久留米市の「PURE HOUSEたけうち」の竹内さんのお話を聞いて下さい。なお、私が直接質問したのでは、竹内さんとしても答えにくいので、インタビューは顧客導入事例研究会の村中さんにお願いいたしました。

小嶋昇

■ 『竹内酒店』から『PURE HOUSEたけうち』という業態に至るまで

    竹内さん。若旦那です。   竹内家は、ここ東久留米で代々商売を営んできました。最初は、農家向けの肥料屋さんとしてスタートし、昭和40年代には、このあたりがお茶の産地だったこともあり、お茶および食料品を扱うお店に鞍替えしました。

-- すみません、お茶の産地と言いますと、昔のドリフの志村けんの「東村山音頭」で「東むらや~ま~、庭先ゃ多摩~湖~、狭山茶どころ、情けが厚い」という歌詞がありましたが、その『狭山茶どころ』のことでしょうか。

まあ、それです。。ここ東久留米も広い意味では狭山地域でして、お茶の栽培が盛んなところです。さてその後、昭和60年ごろにもなりますと、そろそろお茶だけでは業態として成り立たなくなってきたので、酒販免許をとって、酒店を開業しました。当時は酒店というのは、免許を取るのも難しく、一種の「過保護産業」の状態でしたから、開業していれば何とかなっていました。

-- 現在は、「PUREHOUSEたけうち」として、酒の他に自然食品やペットフード、豆腐、アロマテラピーなどさまざまな商材を扱うお店に生まれ変わっています。どういう経緯でそうなったのでしょうか。

ここ10年の東久留米駅の商業環境の変化、これが大きいですね。まず立地の問題です。昔、ここは駅前立地で、店の前にはバス停もありました。しかし95年ごろから東久留米駅の再開発が始まりまして、ちょうどその頃、店を作り変えている最中でしたが、仮店舗での営業中に、東久留米駅の西口ができて、オープン直後には東口ができるという目まぐるしさでした。。それと並行して駅前にロータリーが作られ、さらにロータリー際に、スーパーやファミリーレストランが入ったビルが建ちました。そのスーパーの位置が当店のまん前でして、残念な事に、たけうち酒店の立地は、駅前スーパーの一つ裏の路地に追いやられてしまったのです。

-- それは、激変ですね・・・・

それ以外の変化もあります。95年ごろには、東久留米にはコンビ二は一軒もありませんでした。しかしそれから2,3年して、すぐ裏にローソンができました。また本業の酒類販売についても、免許制限が緩くなり、ほとんど誰でも販売できるようになって来ました。ということは目の前のスーパーで販売が始まるのも時間の問題だなと思っていたら、案の定、販売が始まりました。

-- 実にめまぐるしいですね。

そう、本当にめまぐるしい。これからもどんな変化が回りに起きるか知れません。だから取り扱い商材も、固定観念に囚われずにどんどん変化させていかなければなりません。そして、扱う商材が替わるということは、店の内装やレイアウトも合わせて替えていかなければならないということです。今、ウチはそういうことは全部、小嶋さんに相談してやっているのですが、小嶋さんは単なる内装屋、建築屋というのでなく、こちらの商売のことを親身に考えてくれるので助かります。

■ 「棚効率表や売上げ推移表を出してくれる建築士は珍しいと思います」

陳列表面積効率グラフ-売上げ構成比グラフ -- 具体的にはどのような支援策があるのですか?

例えば、こういう棚効率表や売上げ推移表を手間隙かけて作ってくれたりします(写真左)。この表を元にして、今後のプロモーション計画、内装計画を協議するわけです。ここまでこちらの商売の事を真剣に考えてくれる建築士はあまりいないですね。

-- 普通の建築士は売上げのことは気にかけてくれないものなのですか?

たまに立ち寄った時に「最近、売上げはどうですか?」という具合に声をかけてくれるぐらいはありますが、ここまで手間ひまかけて棚効率表を作ってくる人は珍しいと思います。

-- 小嶋さんとはいつ頃からのつきあいなのですか?

新店舗を作るにあたって、建築士として入っていただきました。その頃は小嶋さんはまだサラリーマンでしたね。

-- 現在の「PURE HOUSEたけうち」という業態は小嶋さんと一緒に考えたのですか?

はい、そうです。自然食品やペットフードをワインと一緒に扱うという業態は、今でこそ珍しくありませんが、当時はまだ一般的ではありませんでした。小嶋さんと一緒に出かけて色々、情報収集をしたものです。

-- 他店視察を一緒にやったわけですか。

はい、何度か一緒に行きました。この点も小嶋さんの特色だと思うんですけど、いつも新しい情報をくれるんですね。しかも本に書いてある話を語るというのではなくて、「どこそこに新しい業態の酒屋が出来たから一緒に見に行きましょう」という具合に、非常に具体的なのです。

-- そうして集めた情報を元にお店の内装を工夫していくわけでしょうか?

まあ、だいたいそういうイメージです。先にも述べたように、店の周りの環境の変化が非常にめまぐるしいので、常に先手先手を打って、変化していく必要があるのです。何かあるたびに小嶋さんに相談しています。小嶋さんは見た目の通りの、気さくで話しやすい人なので、気がかりなことはすぐ相談できます。

■ 「小嶋さんは引き出しが多い人。プラスアルファを返してくれる人です」

私   -- 建築士、内装設計者としての小嶋さんの印象はいかがですか?

非常に引き出しが多い人、何か相談するとただ実行するだけでなく、プラスアルファを返してくれる人という印象があります。

-- 具体的な例はありますか?

具体的と言われると難しいですけど、例えば、こういう棚を作ってほしいと言えば、そういう棚を作ってくれて、しかもそこにいつも一工夫入っているんですね。そこのステンレス什器を頼んだときも、ワンポイントで木枠を加えてくれたりですとか、また店の床一つとっても、こっちは木目、こっちは御影調という風に、常に一手間、一工夫が入っているわけです。

-- 確かにお店の中はなかなか華やいでいますね。特にワインのビンがずらりと並んで、しかもキラキラ輝いているのが良いですね。

そこに気づいていただけましたか。これも小嶋さんの工夫の一つです。ワインのコーナーだけ天井の蛍光灯が違うでしょう。あれは小嶋さんが見つけてきてくれた特殊な蛍光灯です。あれのおかげでビンがキラキラ輝くのです。当時はなかなか珍しいタイプの灯りだったようです。

-- こういう様々な工夫というのは、普通の設計事務所では望めないものなのですか?

全部の事務所を知らないので何とも言えませんが、少なくとも大手の会社よりは良いんじゃないでしょうか。そういう所では、酒販店向け内装の商品もあったりして、一見、華やかで手ごろで良さそうなのですが、結局のところ、パッケージ化された商品なので、細かい所が思い通りにいかず、工夫が存分にできず、最後は不満が募ってしまうわけです。

 竹内さんと私 -- 最後に小嶋さんに一言お願いします。

うーん、一言と言われても難しいですけど、とりあえずはいつも有難うございますとまずは言っておきます。これからも周りの環境がどんどん変わっていくと思いますが、それに合わせて、PURE HOUSEたけうちも積極的に替わっていくつもりなので、どんどんアイディアを出してください。今後もざっくばらんに話し合いながら楽しくやっていきましょう・・・といったところですかね・・・何か照れますね。

-- お言葉有難うございました。今日は貴重なお話をありがとうございました。

リンク PURE HOUSE たけうち

※ 取材日時:2004年11月
 

小嶋昇のコメント:

私は山形県山形市の出身です。実家も親戚もほとんどが商売人です。そういう環境で生まれ育ったので、仕事というのは商売の役に立たなければならないという考え方が身についてしまいました。

建築士の中には建築物を「自分の作品」と考える芸術家肌の方もいらっしゃいます。それはそれで素晴らしいと思いますが、私が目標とするのは、もっと機能を持った建築、目的あるデザイン。平たく言えば、売上げが上がるデザインです。これからもそういう商売の役に立つデザインを手がけたいと思います。

実はお店作りが大好きなのです。今回のPUREHOUSEたけうち様の仕事にしても、最初から最後までお店作りの楽しさにわくわくしっぱなしでした。これからも様々な工夫を凝らし、竹内さんのお役に立ちたいと考えています。今後もよろしくお願いいたします。

 
 

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